過疎と篤い信仰心のはざまを往く  2017年10月11日

♣ きょうだい旅行“長崎くんちと上五島の教会巡り” 5日目 ♣

     

上五島の2日目。「南西部」と概観したが、地図をよく見ると、有川から奈良尾までR384を縦軸としたその西側であることがわかる。中通島から若松島、有福島にも渡って都合12の教会を訪れた。それにしてもこの程度の人口でよくこんな立派な橋を架け、こんな立派な教会堂を建て守ってきたもの。

有川青少年旅行村→青方教会→大曽教会→跡次教会→猪ノ浦教会→焼崎教会→真手ノ浦教会→中ノ浦教会→若松大浦教会→桐教会→(若松島)土井ノ浦教会→(有福島)有福教会→(若松島)大平教会→(中通島)→高井旅海水浴場コテージ(全行程110km)

今日も快晴、お空が青い(当たり前)。いざ2日目のスタート。右は旅行村センター棟。

青方は上五島の中心地(町役場、病院、銀行支店などが集中し お寺や神社もある)。青方教会は1970年台、西方3kmに浮かぶ折島に海上石油備蓄基地ができたとき、島の住民のほとんどが青方に移住し新たに作られたという新しい教会(折島の教会も閉鎖された)。左は正面に立つ聖家族像。

カトリック青方あおかた教会(新上五島町青方郷)。青方の旧集落北方に開発された住宅団地の一角に位置する。

大曽教会が見えてきた。この立地、快晴、何処をとっても絵になる。

カトリック大曽おおそ教会(新上五島町青方郷)。1916年に建てられた。県指定有形文化財。イエス像に相対して手を広げている不心得者が約1名。

教会創設百周年記念にこの正面のイエス像が建てられた。碑文に曰く「労多くして重荷を負える者よ我に来たれ」。右はマリア像。

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大曽教会と青方湾口を隔てて相対する跡次教会のマリア像。遠く折島の石油基地。onmouse-up

カトリック跡次あとつぎ教会(新上五島町跡次)

カトリック猪ノ浦いのうら教会(新上五島町続浜ノ浦郷猪ノ浦)。右は(多分)ルルドの聖母像。

北に開いた猪ノ浦の入江。右は教会堂(赤屋根)と山手の教会墓地。

中通島の西端・焼崎に位置するカトリック焼崎やけざき教会(新上五島町飯ノ瀬戸郷焼崎)

焼崎教会の写真は何の手違いか、コントラストが強烈で白トビした状態。日和も良かったしなァ。

ここから次の真手ノ浦教会までは直線距離では5kmほどなのだが、途中に山や海があって三角形の二辺を走ることになり、凡そ10km。

カトリック真手ノ浦まてのうら教会(新上五島町今里郷)。聖堂のそばでご近所のおばさんに話しかけられ「去年教会堂の外壁を白くしたのにもうよごれてきたのだが、何かいい方法がないか?」と聞かれ、思わず『掃除屋じゃない』と言いそうになって危うく口を噤んだ。事の当否は兎も角として、非常にフレンドリーに外来者に接してくれるのはここだけに限らない。ほのぼのとした気分になったことを告白する。

平和を願って建てられたという平和の元后の像。(マリアの年の閉祭を記念)

そこから半時間近くかけて見事に通り越してしまい、慌ててバックして到着したのがここ中ノ浦教会。

カトリック中ノ浦なかのうら教会(新上五島町宿ノ浦郷中ノ浦)・・・なんで通り越したか?「384号線の山側にあるとばかり思って走っていた」はNAVI役の乃公とて同じ。海沿いの道を走っていたらあまり海側に教会があるとは思わないわナァ。というのは言い訳。

この教会は海面に映る“逆さ教会”が有名なのだとはあとから知った。撮っては見たものの波で上手く写らず。

中ノ浦教会から2km南下。ある筈が 道路からは教会らしい外観が見えない。「これが教会? 嘘でしょ?」車を止めて階段を上がる最中も、他人の家に入り込んでいくようで腰が引けていた。

そう、間違いないです。これがカトリック若松大浦わかまつおおうら教会(新上五島町宿ノ浦郷大浦)なのでした。

紺碧の色鮮やかな若松の瀬戸が眼下に。左は教会遠望、右は教会の高台から。

カトリックきり教会(新上五島町桐古里郷)

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聖堂前に「信仰の先駆者顕彰碑」が建つ。五島キリシタンのカトリックへの復活に与って力のあった3人(ガスパル与作とその父パウロ善七、ミカエル清川沢次郎)という。

桐教会遠望。

取って返し 若松島へ。大橋が遠くに見える。

若松大橋を渡る。

カトリック土井ノ浦どいのうら教会(新上五島町若松郷)

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土井ノ浦教会前庭には「カリスト殉教顕彰碑」が建ち、教会に隣接して日向生まれの殉教者カリストの歴史を伝えるカリスト記念館がある。

有福島に渡った頃から 今までのドカンピーの晴天がにわかに曇ってきた。

♪教会へ登る石畳♪なのだが、周りの漁具小屋など しっかり寂れている。

正面入口把手の二カ所が丈夫な紐で固く括られていた。他に開いている入口はなく、閉鎖されているのかと思った。

カトリック有福ありふく教会(新上五島町有福郷有福)
帰宅後調べたら閉鎖されているわけではなさそう。他に例がなかったので今なお不思議の一つ。

若松島に戻り、島の北部に1ヵ所だけ離れた大平教会へ向かう。

カトリック大平おおびら教会(新上五島町西神ノ浦郷大平)。正面には被昇天の聖母像。

今日訪れた中でカッコ良さは三本の指に入るのでは。

そんな失礼な訪問者が一瞬にして言葉を失った。聖堂の中では数人の信者さんが夕べのお祈りの最中だった。

教会の前は鉄筋三階建ての学校。手入れをされているようで綺麗なのだ、が、しかし廃校であることも一目瞭然。年度ごとの卒業生が遺した記念工作物が壊れたまま放置されている。バス停標識と見間違えたのはデマンドタクシー停留所の標識。

個人的に、最後で意気消沈してしまったことは否定しない。しかしどんなに過疎状態になった地区でも厳然として、確固たる信仰がいまだ息づいている。その両極のような光景を見た 上五島2日目であった。