ㅤシャカ岳  平成2(1990)年5月26日ㅤ

 

快晴の天気予報で、前夜かねて念願のシャカ岳行きを決定。おにぎり2個つくってもらい、ショルマートの前で飲物2缶を買って出発。茨木行き7:28のバスにギリギリで間に合った。7:50茨木着。8:05の快速に乗り、8:32山科で降り、8:50の北小松行きに乗り換える。

9:35北小松着。

比良連山がぐっと目前に迫っているここ北小松。殆どの人が二つ前の比良で降り、北小松で降りた人は5〜6人。身繕いして9:40出発する。

舗装の林道が目前の山に向かってどんどん上がってゆく。一人中年女性がいたが、駅から200mあたりでジュースを買って小さなテルモスに詰めている。“ア、いいナ”と一瞬思う。右手に多目的グラウンドやキャンプ場があり、側溝にキレイな水がいきおいよく流れている。まもなく山道に入り、すぐ滝分岐になる。

時は9:55。とたんに階段である。ハアハアいいながら10:05雌滝につく。

写真をとったあとすぐ右岸に渡って高巻きし、金属はしごなどをよじて10:30雄滝に着く。

中村さんに似たオッチャンと、ビデオカメラや双眼鏡をもった30才代の男とともにしぶきが散る壮快な滝壷の風情をしばし楽しむ。顔を洗い、水を飲む。しかしこれから先の行程を考えるとそうもゆっくりしておれない。スタート。

少し戻ってユリ道を涼峠への本道に向かう。途中で左手に琵琶湖が開け、しばし眺望を楽しむ。今日は先日D薬協S委員会の鹿児島行きのとき、持っていって殆ど使わなかったコダックのパノラマカメラを持参、いつものと両方で撮る。

10:30一本の古松がそびえる小空地に着く。何かの礎石みたいな平べったい石がそこここにある。どんどん追い越されるが、かまわずしばし休憩し靴をはき直す(今回これを2〜3回繰り返したのと、ひもをややゆる目にしたせいか、一切靴ずれしなかった)。
 

10:45涼峠を通過し、ヤケ山へ直接向かう。先ほどのビデオの男が坐ってサンドイッチなどパクついている。ここを右にとると寒風峠であるが、時間短縮のため割愛。ややあって右手に水音がする。オトシというんだそうだが、要は楊梅の滝の源流の湿地帯なのだ。音を聞いているうちにのどの渇きを意識する。やっぱりテルモスを持って来るべきだった・・・・と。

てなことで12:45釈迦岳への途中でとうとうダウンしてしまい、昼食休憩とする。道の脇に落葉が散りしき、潅木がささやかに日陰をつくっている空地があるのでそこへ坐る。ベストとシャツをぬいで木にひっかけ、飲物をしっかり飲みながらおにぎりを食べる。とりあえず1個食べたあと、落葉の上にレインスーツを敷いてしばしまどろむ。実はここは何も眺望が利かないのだ。
 ヤケ山(700m)はいつの間にか通過。寒風峠への分岐もわからずじまい。このあたり熊笹が茂り、少なからず道標不備である。

11:15無名峰(705m)に着く。多少見晴らしがきく。京大のワンダーフォーゲル部の数人がいて、新人(女性2人を含む)訓練の真っ最中である。リーダーらしきのに聞くと、武奈ヶ岳から蛇谷ヶ岳へ一泊で回るんだそうな。元気じるしに羨望の念を禁じ得ず。
 シルヴァコンパスの使いかたなど訓練中なので、邪魔をしてはと早々に出発。11:30鞍部を過ぎていよいよヤケオ山への登りにかかる。いやはやここはキツイよ。何度も何度も休憩し、そのたびに抜かれてゆく。

11:45タンヤマの頭(だろうナ)一本松のあるところで大休止。別にどうということはない斜面の途中なのであるが、見晴らしは最高。右手は黒谷で、かつてCSの舎営をした近江高島青少年旅行村や八渕滝の方面が一望のもと。「吹く風さやか」とはハウプトマンの五月の歌の一節だったが、まさにそれを地でゆく爽やかさである。

12:20ヤケオ山(970m)の山頂にとびだす。3人連れが昼食中で、コーヒーの香しい匂いがプンプン。上にかぶさった潅木に洋傘をひっかけて日除けにしているのはグッドアイデア。割に眺めはよく、先着していたワンゲルのメンバーに1枚シャッターを押してもらう。ここから釈迦岳は指呼の間。ハラがへったがもうひとがんばりとスタートする。それにしても缶ビール(小)とウーロンの2本では簡単に飲めない。やはりテルモスがいるんダヨ!!

落ち着いたところでもう1個片付け、1:15出発。シャツが乾かないのでつめたいことこの上なし。着替えはあるのだがあとまた汗をかいたら と思うとなかなか着替えられない。水分の補給で身体はうんと楽になったみたい。といっているうちに1:22釈迦岳に到着。ところが である。まわりは潅木だらけで何も見えないではないか。今回“釈迦岳に登った”と言いたいために来たみたいなものなのに、こりゃまたどうじゃ。仕方がないのでセルフで写真をとるだけにし、1:27はやばやと出発。

ここまで来たらあとは楽。小さいアップダウンを繰り返しながら1:40にカラ岳(1,030m)に到着。関西電力のパラボラがあり、武奈ヶ岳をはじめ八雲ヶ原のロッジの屋根や打見山が一望のもと。

特に武奈ヶ岳はすぐそこに見え、12年前を懐かしくおもいだす。写真をとつて45分出発。

ここからはもっぱら下り専門で、八渕滝道が見えたと思うとすぐ比良ロッジ前に出る。時は正に2時。京大ワンゲルもひきつづき到着。まず休憩していた人に写真をとつてもらい、洗面する。

途中で拾った杖は大変役に立ったが、ここでオサラバ。自動販売機のそばに置いてくる。

ハチミツレモン(150円)を飲みながら200m先のケーブル山上駅まで歩く。

白い道が一旦下り、再びケーブル駅へ上がっている。切符を買うと、すぐ出発との駅員のコールあり。2:20。

ケーブルから見る山肌が若葉で息を飲むほど美しい。“山上は今が若葉の季節なのですね”と同乗のオバチャングループと話し合う。リフトに乗り換えて40分山麓駅着。

3:03の江若バス(1時間1本ナノダ)に乗るためバス停にすわりこむ。オバチャンたちは歩いて行く。やがて来たバスに乗るが、ガラガラ。次のイン谷口で、歩いて行った大部分が乗り込む。イン谷口には大キスがところせましと置いてある。1泊山行きのグループらしい。

3:13比良駅着。3:21発の新快速に乗り、高槻乗り換えで4:30岸辺着。かくして自前の比良初体験はおわったのである。