残り物には福がある  2018年3月15日

♣ 独 行“郡山と木津川の式内社を訪う” ♣

式内社巡りって要は神社参詣なんだからもう少し書き方もあろうに、と眉をひそめる向きもいらっしゃるだろう。乃公も良くそれを思う。でもついつい、タイトルの語尾に「・・か?」と付けないと不謹慎かと反省半分なタイトルが最近増えたな、と、実は反省しているさえらのすしなのである。

=近鉄九条駅→登彌神社→矢田坐久志玉比古神社→矢田東山バス停(バス)=近鉄郡山バス停→JR郡山駅=JR木津駅→岡田国神社→JR木津駅=

近鉄橿原線の九条駅なんて(なんてって言ってはいけないが)こんな時でもないと昇降することは絶無。因みに九条駅は西ノ京駅と近鉄郡山駅の間にある。11:03(時刻表では10:58)下車。

電車を降りて一路西へ。住宅街の中を微妙な傾斜で登りが続く。その途中の畑の真ん中に梅満開。

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今日の第@ターゲット・式内 登彌とみ神社。ただ下の写真で見られるように、このお社は木島(このしま)の明神さんとして斎き祀られてきたようだ。境内の灯籠などどこにも「登弥」の名前が見当たらない。唯一つ鳥居(写真左)扁額に見られるが、これは新しいようだ。登彌神社(とみのじんじゃ) 木島村にあり。近隣六村の氏神なり。〔延喜式〕に見えたり。【大和名所圖會】

登美の連の祖神・饒速日を祀ったと伝えるが、この灯篭の寄進者「木嶋屋」と「木嶋大明神」の関係は何だろう。

すぐそばを流れる「富雄(とみを)川」。

富雄川西の河畔に広がる耕作地。その向こうは矢田の集落。山脈は矢田丘陵。

どうやら東明寺への分岐(道標)らしきところで左へ。同じ道みたい。

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今日の第Aターゲット・式内 矢田坐久志玉比古やたにいますくしたまひこ神社。登彌のお社同様 饒速日伝承に彩られ、社殿鎮座地は矢の落ちた場所ともいわれる。天磐船飛行伝承で航空の守護神としての側面もある。なぜかわからないが大和名所圖會にはこのお社の記載がない。

飛行機のプロペラが寄進奉納されている神門(上)と「矢落大明神」の扁額がかかる拝殿(下左)と、二の矢が落ちた場所と伝える「二之矢塚」(下右)。

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時間も時間なので、久しぶりに買ってきたおにぎりを境内脇の駐車場のものかげを借りて食べる。下校途中の小学生以外人影はない。

さ、駅へ出よう。郵便局前まできて横山口バス停で時間を見たら近鉄郡山行が2時間待ち。仕方がないのでR189沿いに東向いて歩き出す。途中の叢林に小さな祠がある。主人(ぬしと)神社。矢田のお社の御旅所だという。

もうひと歩き。矢田東山バス停にくると何やら待ち人が居る。時刻表を見ると、なんと5分でバスが来ることになっている。民族博物館やら工業高専のある方向から来るバスらしい。ラッキー。

真っ直ぐ行ったらすぐの道をあちこち回って近鉄郡山駅着。さあどうしようか。西大寺-生駒-白庭台はメンドクサイ。ならだいぶん前に諦めた南山城の残りをいこうか。かくして1kmがとこJR駅までがんばり、奈良乗り換えで木津駅。ここから南1kmの岡田国神社をめざす。因みにこちらは京都府だ。

僅々1kmではあるが、最終ターゲットとあって思いのほかキツい。R24を文字通り真っ直ぐ南下し左向くとこの大鳥居がある。扁額には「天神宮」とある。

鳥居のすぐ下にあった「山背古道」の表示板。2005年AZハイキングで青谷梅林に行ったときこの古道の存在を知った。(

鳥居をくぐるとすぐこの「バイパス」跨線橋。向こうに見える最高所でJRを跨いでいるのがわかる。最初は車両専用道路と勘違いして真っ直ぐの参道と思しき道を進んだが、JR線路に踏切らしきものが一切無い。戻ってこの道に入る羽目に。

お恥ずかしいが、この時点でこの新しい社殿群だけが当社と勘違いしていた。今日の最終にして第Bターゲット・岡田国おかだくに神社(式内岡田國神社の論社の一つ。もう1社はこちら)。この社頭風景で気付かなければならなかったのだが、すべて後から気が付く何とやら、である。灯籠には岡田恭仁神社(恭仁は「くに」)とあるものの、バイパス参道が「横付け」状態で、普通ではあり得ない。

R24沿いの大鳥居から真っすぐ東へ延びる(伸びていたであろう)参道。その真っすぐドン突きがこの岡田国神社の旧社殿であった。知ってからMapを確認すると至極真っ当な結論で、当然、なる程、と頷くのだが、知らないことは強い(強くないか)。新社殿の真北に隣接する(逆か)この旧社殿を見ると、本殿が2座あるところと能舞台以外は規模の大小を別にして、拝殿、東西の氏子詰所などは新社殿に引き継がれている。「けいはんな」の工事が始まって社有地の売却代金でこの新設が行われたと聞いて、乃公的にはよかったのかどうか、混乱してしまったというのが正直なところだ。

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その理由はただひとつ。この社殿の彫刻一つをとってみても朽ち果てた様子は見られない。因みにこの旧社殿群は京都府登録文化財。この程度でしっかり補修して持ちこたえているお社はいくつも見てきた。(下左はその本殿の軒、右は2座の本殿の間に書かれた獅子(狛犬?)の板絵)

旧社殿を拝した後再び新社殿の境内に戻ったのだが、新しく一見きらびやかな新社殿が色褪せて見えたのはいったい何だったんだろう。参道にしたってあんなバイパスを作らず、仮に小さいトンネルを作ってでもいいから、一の鳥居から真っすぐ伸びた参道を残し、行き当たった山際に坐していて欲しかった。
ㅤ新しいことの虚しさをしみじみ感じた今日のお社巡りだった。

京都経由か、学研都市線経由か、はたまた大和路線か。。。木津駅のホームに上がったタイミングで後者に決定し、15:19発の大和路快速で帰途に就いた。

今日の総歩行距離 8.3km(6.1+1.0+1.2)  ̄|△| ̄ ルートマップ@はこちら Aはこちら