巻向の山に雲は湧いて  2017年8月8日

♣独 行“大和城上の式内社を訪ねて” ♣

雲は湧き 光溢れて 天高く 純白の球 今日ぞ飛ぶ〜♪。昭和23年にできたこの夏の甲子園の大会歌は昭和26年まで野球少年だった乃公の心の歌。三節までの歌詞一つ一つにあのころの泥まみれの練習の日々が甦って切なくなる。今日はその開会式。。。 それはともかく、今日はある程度降られると覚悟していたのに 帰途の巻向駅まで保ってくれてラッキー。

JR桜井線柳本駅に降り立ったのは11:12。桜井で乗り換えたとき先日の和歌山線での失敗を思い出して切符を買ったのだが、ここにはICカードの読み取り機があった。

大和の民家の塀に普遍的な縁起もの飾り(恵比寿大黒が多い)

崇神陵を間近に今日の式内社第@ターゲット・伊射奈岐いざなぎ神社。崇神陵の陪塚・天神山古墳の後円部西側に位置する。大和名所図会には何故か記載がない。

渋谷(しぶたに)バス停でR169南望。すぐ水口社の杜。左向こうは景行陵。

同所で西望。遠く雲をかぶった金剛葛城の山々。左中景は畝傍・耳成。

今日の第Aターゲット・水口みなくち神社。【大和名所図会】水口神社(みなくちじんじゃ) 澁谷村にあり。〔神名帳〕に出づ。今天王と称す。上ノ山古墳(景行陵の陪塚)の西麓という鎮座状態は先ほどの伊射奈岐社に酷似する。

本殿脇の山側に“金毘羅大明神”碑。かつて金毘羅参りが盛んだった江戸時代の名残だろうという。

神社全景。R169側から丸裸状態。背後は古墳なのでかつては手前も木に蔽われていたものらしい。

景行陵からR169をはずれて山の辺の道方面に近道する。

左は景行陵の杜、真向こうは三輪山。

それにしても景行陵はでかい。もちろんこれより大きい古墳は沢山あるが、真横が“素”で見ることが出来るためその大きさが際立つ。因みに墳丘長300mで全国8位という。

穴師社への途中で見かけた「万葉の楽園」で満開のオミナエシ。遠く景行陵。

穴師社への道と山の辺の道との交差点。ま、いろんなことが書いてある。「相撲発祥の地/相撲神社/200m」「天理 景行天皇陵 1.5km」「大兵主神社 0.7km」「桧原神社 1.6km 桜井」「山の辺の道」

第二代綏靖天皇から第九代開化天皇までを欠史八代というが、その直後十代から十二代までの天皇陵と伝える古墳や宮跡がこの辺に集中する。これは「景行天皇纏向日代宮跡」碑。左脇には小祠。

「纏向日代宮伝承地」説明版。

というところへソレ来た「相撲神社」。

        

今日のターゲット例外版・相撲すもう神社。(因みに当社は式内社ではない) 祭神は野見宿祢のみのすくね。垂仁天皇の時代に当麻蹴速たいまのけはやと力比べをしたのが相撲の始まりとされる。写真左の鳥居の向こうに見えるシートがかぶせられているのが土俵。

相撲神社の脇を更に数百m登ったところに鎮座するのは、今日の第BCDターゲット・穴師坐兵主神社。室町時代に三社が下社の坐した当地に合祀されたと伝える。真ん中の写真拝殿の後ろに見える三つの本殿の屋根:左から穴師坐大兵主あなしにますだいひょうず神社(下社)、穴師坐兵主あなしにますひょうず神社(上社)、巻向坐若御魂まきむくにますわかみたま神社(巻向社)。【大和名所図会】穴師兵主神社(あなしひょうすのじんじゃ) 穴師村の東、弓月嵩にあり。〔神名帳〕〔三代實録〕に出づ。(後略) なるほど、上社は山上に坐したらしい。

穴師社を出て暫く下ると右に珠城山古墳群。その前に“纏向珠城宮伝承地”説明版。

更に下ると“垂仁天皇纏向珠城宮跡”碑。

上津道からの参道入口に建つ一の鳥居。左手前に“正一位穴師大明神”の碑。鳥居の周辺に積まれた石材は この鳥居がよりもっと大きかったのではと思わせる笠部分その他の残骸。

今日の最終第Eターゲット・春日かすが大明神。大田の地に坐すこのお社は式内・他田坐天照御魂おさだにますあまてるみたま神社の論社の一。当社は在所の傍にありながら鳥居もなく、社名表示・説明もなく、わずかに写真(左)の石に刻まれた“天照御魂神社”の文字が当社をそれと知らせる唯一の手がかり。これとて古いものでないことがありあり。【大和名所図会】他田坐天照御魂神社(おきたにいますあまてるみたまむすびのやしろ) 城上郡太田村にあり。〔神名帳〕〔三代實録〕に出づ。 というような伝承を頼りに置かれたものだろう。この直ぐ近くにかの纏向遺跡がある。下の写真は境内の大樟。

春日社を出ると北方の山が真っ白。今日のがれたと思っていた雨らしい。幸い巻向駅でこの写真を撮ってもらう時間もあったのでついていたことは間違いない。が、列車は驟雨とともに到着。列車の排水管から音を立てて雨水が流れ出ていた。

そんなこんな次第で巻向駅13:36発。近鉄桜井駅13:53発の急行に乗り換えて本日の予定終了。距離が短いこともあり、また道が非常に明確でこんな楽なお社巡りは久しぶりだった。盛夏の歩きはこんなのに限る。

今日の総歩数 8,190 歩    ̄|△| ̄   ルートマップはこちら